少し前から気になっていた作品でした。
これは女性マンガなのですが、普段BLでお世話になってる作家さんがお書きになっているので、じつはもっとシュールな内容だと思ってました(笑)。
でも読んでみたら想像していたよりも社会風刺的な内容で、藤峰式節と言われる独特な作風がいかんなく発揮された素敵な作品だなぁと思います。
物語の主役はこの2人。
主人公は出版社の販売部で働く42歳の会社員・不動 敬一。
若い時から自分は「映えない」側の人間だと思い、ただ淡々と日々を送っているどこにでもいる普通のオジサン。ただ彼には(自分だってたまには”いいね”と言われたい)という行き場のない承認欲求があり、それを満たすために、中学時代に美脚だと褒められた足の写真を裏垢に投稿しているという秘密があった。
そんな彼の裏垢が、とある男子高生インフルエンサー・木元 良くんの配信中にたまたま話題にされたことで炎上してしまい、その謝罪をしたいからと対面したことを切っ掛けに友達になっていく……というお話。
この良くんって高校生がすっごく良い子なんですよね。
ネカマのオジサンなんてドン引きされるに決まってる……と後ろめたく思っていた敬一に対し、欠片も嫌悪感を抱くことなく「好きなものに男とか女は関係ない」と言い切れる懐の広さと明るさを持っている。彼はなんでもポジティブに捉えてどんどんと相手の懐に入っていくので、敬一側も少しずつそれに触発されて前向きになっていくんです。
お話を読んでて一番グッと来たのがこれ。
俺といても何のメリットも無いだろう?という問いかけに「損得考えないのが友達なんじゃん!」と明るく笑い飛ばすシーン。
そう。そうなんだよね!と思わず頷いちゃいました。
これって大人になるとホントに忘れがち。
わたし自身も、相手に何かしなければ、メリットが無ければ友達でいて貰えないんじゃないかと思いがちで、つい背伸びをして余計なことをやったり言ったりしてしまう。
もちろん迷惑になる行為はダメだけれど、確かにそう。年齢など関係なく、一緒に遊んでてお互いに楽しめる相手ならそれは友達と呼んでもいいんですよねぇ。
こういう部分はきっと、若い子たちのほうが良く知ってるだろうし、逆に意識せずにやってるからピンとこないってひともいるんでしょうね。
しかしそんな超人気インフルエンサーにも悩みはある。
厳格な父親に「そんな無駄なことをしている暇があるなら勉強しろ」と言われてしまったこと。良くんは学業を疎かにしているわけじゃないし、彼の配信に救われる人間は多くいるのに、自分に理解できないものを「無駄」「無意味」だと決めつけてしまう大人がいる。
これも、SNS時代ならではだよなぁ~って気がします。
そしてもちろんこのお話の中では、SNSで配信する影響の大きささや、自分が気に入らないからと誹謗中傷を書き込む人々によって発信する側がダメージを受けるデメリットな部分も分かり易く描かれてる。
何というか本当に、若い人にこそ読んで欲しい漫画だって思いますよ。
じつはわたしも例のVキャラ配信、ずっ~~と悩んでたんですけど。
これを読んでたら、やっぱやってみようかなぁって気持ちになりますね。
何事も踏み出してみなければ始まらないからなぁ。(;^ω^)
今のところ刊行は3巻まで。
主人公たちが、お騒がせ配信者の餌食にされそう……という気になるところで終わってるんで、早く次巻(たぶん来年でしょうけど)が出て欲しいですw
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