すでに巻数があるので1巻だけ買って様子見しよう……と思ったら、続きが気になって結局最新刊まで買ってしまった『ミッドナイト・コンフリクト』。
まったく反りが合わないと思っていたゲイ青年同士が、様々な出来事を通して[気づき]を重ね、喧嘩しながらも少しずつ愛情を深めていく……という感じの、ケンカップル・ラブコメディです。(*´艸`*)
主役はこの比嘉 恒介と、建村 篤の2人。
攻め側の恒介はコンビニの店員で、一見するとチャラ男風だけど、じつはロマンチストで面倒見のいい青年。老舗旅館の息子で調理師免許も取ったけど、父親にゲイバレしたのを切っ掛けに気まずくなり家を出たという経歴の持ち主。
いっぽう受け側の篤は建築関連の会社に勤めるサラリーマン。会社ではとても有能だけど私生活はだらしなく、それを指摘されれば逆ギレして突っかかる性格。
最初は単にいけ好かない「店員」と「客」だったものの。
お互い共通とは知らなかったゲイ仲間に「相手を紹介する」と言われて対面してみたら……という王道な出会いからスタートしてます。
2人の関係が進展する切っ掛けになったのは、恒介が「ストレス解消」という名目で篤をエッチに誘ったこと。単にヤるだけの行為であるはずが、そもそも優しい性格の恒介が大事に抱き、篤の側も優しく扱われていることに気づいて好意を持ってる。
直後にじつはお隣さんだったことが判明するんですが、この時の(あれ?)って気づきが無ければ、互いに相手を誤解したまま終わったかもしれないんですよね。
エッチの相性が抜群だったことが「勘違い」を「好意」に変えた要因。
……ってのは、まぁBLあるあるなんですが(笑)。
考えてみれば男女の仲だって結局、そこが上手くいかなければ発展しないでしょう。
お互いに考え方が真逆なので、すぐ喧嘩になってしまう。
けれど互いの親とのやり取りや、同棲を始めてみて感じる価値観の違い、会社の同僚へのカミングアウト、新居を探す際に直面した「同性カップルNG」という厳しい現実など、問題が生じるたびに真剣に悩み、歩み寄ろうとすることで愛情を深めていく。
この2人のやり取りを見てると、追体験をしてる気持ちになるんですよね。
わたしは残念ながら夫とは、この2人みたいに喧嘩をすることはできませんし。
いまだに夫の家族や親戚について訊ねることもできないし、怖くて踏み込んだ話をすることもできない。そんな本音を伝えれば、ウチの母親は絶対に夫に電話して余計な揉め事にしちゃうんで家族に相談もできない。といってわたしも変える努力はしてないし、このまま平穏無事に続いていけばいいか……なんて曖昧なことを考えてる。
だからこそ、物語に共感できるのかも。(;^ω^)
そして読んでるうちに、LGBTに関する色々を考えさせられました。
このお話に登場するひとたちは皆理解があって、優しい関わり方をしてくれるけど、現実はこんな甘いもんじゃないでしょう。
そして同性カップル同士が一生を添い遂げたいと思っても、日本ではまだ同性婚が認められてないので、たとえば相続問題や、急病で運ばれた際にも「身内ではないから」と面会を拒絶されてしまうケースも多い。
そういう諸問題を彼らがどう乗り越えていくかも、このお話の見どころなんじゃないかなぁと思います。
あ、ちなみに副題としてついてるアルファベットは、
「KGS=クソガキ襲来」
「ACO=篤カミングアウト」
「DDD=ドキドキ同棲」
といった、作家さんの遊び心らしいですよ。(*ノ∀`)ノ゛))アヒャヒャ
エッチシーンだらけなんで万人にはおススメできませんが。
同性愛の当事者や、身内にそういう方がいるひとたちがこれを読めば、ご自身の問題解決のヒントになるんじゃないのかなぁって気がします。
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