【小説】カルマの詩 第1話

オリジナル小説。
わたしの親友たちが使っている二人のキャラクター。
ゲーム内ではエタバンもしてる仲良しキャラなのですが・・・。

彼らがいったいどのように出会い、共に生活するに至ったのか??
それを妄想した結果生まれたオリジナル小説です

FF14世界を舞台にしているため同じ名称の場所や人物が出てきますが、
もちろんゲーム本編とは関係のない、わたしの作り話です

その旨、あらかじめご了承いただければ幸いです。(*ノ∀`*)エヘヘ

 

ジャックスはその日、途方にくれていた。

(ああああああああ・・・わたしは、なんでいつもこうなんだ・・・)

80イルムを超える長身をくの字に曲げ、髪を掻き乱すようにして苦悩する。
なぜかといえば、彼はつい5分前、2年連れ添ってきた妻に離婚宣言されてしまったからだ。
栗色の豊かな髪をかきあげ、遠い目をした彼女の言い分はこうだ。

「あなたと一緒にいると、わたし、疲れてしまうの」

だから婚姻関係を解消し、一緒にいても疲れることのない誰かとやり直したいのだという。

ジャックスはとても生真面目な男だ。
ハイランダー特有の大柄な身体に、薄褐色の肌、厳つい顔つきをしてはいるが、性格はどちらかといえば温厚な学者肌。誰に対しても丁寧な言葉遣いをするため、知人らは「センセー」などと揶揄するほどだ。
実際、エオルゼアに残留した元アラミゴ難民の子らを集めて塾まがいのことをしているので先生には違いないかもしれない。
もちろん女性に対しても紳士的である。
付き合う女性がいれば常に彼女らの動向を気にかけ、化粧や髪型といった変化にも敏感で、もちろん浮気や女遊びといった不埒な行いは皆無。誕生日や記念日といった日には花を用意するようなマメな男なのだ。にも拘わらず、恋人として付き合う女性たちからは決まって「疲れた」という理由で振られてしまう。

その理由に心当たりはあった。
彼は生真面目すぎる性格ゆえに、困った人を見ると誰彼かまわず助けようとしてしまうのだ。
むろんそこには妙齢の女性たちの姿もあり、ジャックス本人の心情には関わりなく彼女らの嫉妬を煽ることになってしまう。そのあげく、助けた女性の厄介ごとに首を突っ込んだり、女性らに言い寄られては困惑していたりする。
そりゃあ振られるのも、むべなるかなと言ったところか。

「・・・・・・はぁ・・・」

ひとしきり苦悩したところで盛大な溜息と共に立ち上がった。
今すぐ家に帰って涙で枕を濡らしたいところだが、今夜はまだグランドカンパニーから依頼された魔獣討伐の報告が残っている。それを終わらせたら、強い酒でも買って帰って、酔いつぶれて寝てしまおう。そう自分を慰めて歩き出す。

ところが、アンカーヤードから黒渦団・軍令部を目指して歩く道すがら、彼は奇妙な光景を目にした。

カルマの詩 第1話-②

彼が歩いていた場所からは15ヤルムほど離れたアフトカースルの片隅。
中央の植え込みの縁に、エレゼン族と思われる男がひとり倒れ込んでいた。

白と茶を基調とした軽装をまとい、背には大振りな弓を背負っている。
遠目に見て傷を負った様子はないが、仰向けに捻じれた奇妙な姿勢からすると、歩行中に意識を失って植え込みに倒れ込んだ状態のように思えた。

だが、ジャックスの目を引いたのはそんな彼の姿だけではなかった。
倒れ込んだ男から数ヤルムほど離れた物陰から、黒髪の少年が男を見つめている。
痩せた小柄な身体に粗末な服をまとった10歳前後に見える少年だ。
そわそわと落ち着かぬ眼差しと不自然に上気する息遣い。経験上、少年が何をしようとしているのかは想像がついた。
やがて、見られているとは知らぬ少年は思いつめた表情で走り出す。

少年が倒れた男の左腰にあった短刀に手を伸ばしたのを見たところで、ジャックスは跳躍した。
一瞬で彼らの元へと歩みより、伸ばされた少年の手を上からつかみとる。

「盗むのは良いことではありませんよ」

いきなり目の前に現れた男にビクッと身を震わせた少年は、青ざめた顔でジャックスを見上げる。
真上から注がれる灰緑色の眼差しに、朱が差したように少年の顔が紅潮した。

「う、うるさい!あんたには関係ないだろ!」
「確かに、貴方の人生にわたしは何の関わりもありませんが、しかし見てしまったものを見ないふりはできませんからね」

逃げ出そうともがく少年の腕を軽くひねり上げて動きを封じたところで、植込みに倒れたままの男の様子を伺った。
とがった長い耳とスラリとした長身な体型。やはりエレゼン族のようだ。
他種族からみれば上品な印象の容貌を持つことが多いエレゼン族だが、その中でも彼は、どこか貴族的に整った面立ちをしていた。
なにか病でも患っているのかと案じたジャックスだったが、その胸が規則正しく上下しているのを見て拍子抜けした顔になる。

「・・・ね、寝てる??」

ジャックスは迷った。
捕まえた少年を解放するわけにはいかないし、寝ている男を放っておくわけにもいかない。
さてどうしたものか??

少年と男を見比べながら悩んでいると、エレゼン男がうっすらと目を開けた。
紅と蒼、左右の色が異なる物憂げな眼が、目の前に立つ大男と少年を不思議そうに見比べる。

「あんたら、何してんだ?」
「・・・・・・はぁ・・・それはこちらのセリフですよ。この少年が貴方の持ち物を狙っているところを目撃したので、止めに入ったのです」

大きなため息をついてジャックスが答えると、エレゼン男は「ああ」と呟いて肩をすくめた。そしてするりと身軽な動作で、音もなく立ち上がる。

「・・・・・・・・・狙った処で金目の物なんざ持っちゃいなかったんだが。まぁ・・・礼を言っておくべきか。ありがとよ」

その様子を見て、ジャックスは内心で感嘆していた。
彼の顔立ち自体も非常に美麗なのだが、衣服を整える仕草や指使いといった所作もどこか艶かしく、洗練されたものに見える。本当にどこかの貴族なのかもしれない。

「んで?このガキをどうすんだ?」
「そうですね・・・・・・ちょうど軍司令部に行くところでしたから、彼らに処遇を任せるべきなのでしょうね」

ジャックスとしては、エレゼン男が起き上がった時点で問題は解決している。
しかるべき場所に少年を送り届けてしまえば、あとはマーケットに寄って酒を買って帰るという当初の予定に戻れるだけだ。
ところが、力なく身もがいていた少年がそれを聞いて急に激しく抵抗を始めた。

「いやだ!放せ・・・放せよ!」
「お・・・っとダメですよ、大人しくしてください。ヘタに暴れるとケガをしてしまう」

慌てて少年を捕まえなおそうとしたジャックスだったが、暴れる少年のほうが早かった。
一瞬のスキをついて身をかがめ、緩んだ手から抜け出して一目散に走りだす。
追いかけようとするも、少年の姿はあっと言う間に人混みに紛れて消えてしまった。
茫然とするジャックスの背後で「あ~あ」とエレゼン男が呟く。

「ま、いいんじゃねぇの?オレに実害はなかったわけだし」
「しかし」
「アラミゴ解放の騒乱が収まってからこっち、だいぶここらも落ち着いてきたけどよ。まだまだ食いっぱぐれた連中はいんだろ。いちいち相手にしてたんじゃ軍司令部のお偉方も大変だろうさ」
「・・・・・・貴方がそうおっしゃるのでしたら」

不承不承の体でうなずいた。
悲しい事だが彼のいう通りで、流れ流れた果てに生活に困窮した難民たちが騒動を起こしたり、強盗に転じたりといった話は後を絶たない。
子供の小さな窃盗行為など、あまりにもありふれた出来事だった。
気を取りなおしたジャックスは髪をかきあげエレゼン男を振り仰いだ。

「ところで、貴方はなぜこんな場所で寝ていたのですか?」
「あ~~~~~・・・いや・・・眠くってさ」
「物騒ですよ。実際にああいった少年もいたのですから」
「・・・・・・眠ぃんだよ・・・」

話している間にも、気が抜けたエレゼン男は眠たげな表情になっていく。

「また寝ぼけて襲われては大変ですから、お送りしますよ。ご自宅はどちらですか?」
「・・・・・・家?ねぇよんなもん。リムサには・・・昨日きたばかりで・・・」
「わ、分かりました。では最寄りの宿にお届けしますから、そこまでは意識を保ってください!」

言いかけてふらりと倒れ掛かるエレゼン男を慌てて支え、そのまま肩に担ぐようにして歩き出した。
弓を携えていることからして吟遊詩人なのだろう。細いが鍛えられた男の体だ。
ハイランダーとしては長身の部類に入る自分よりも、彼のほうがやや背が高い。
頬にかかる薄い金の髪と、むにゃむにゃと小さく呟く彼の息遣いが、少しくすぐったい。

しばらく歩いたところで、ふと気づいて問いかけた。

「そういえば名前をお伺いしていませんでしたね。わたしの名はジャックス。貴方のお名前はなんと仰るのですか?」
「・・・・・・・・・オリヴェ・・・ル」
「オリヴェル。なるほど樹の名ですか」

オリヴィエは南の海岸沿いでよく見かける常緑樹の名だ。
常に青々としたその姿から、清らかさや生命力を連想するらしく、これに語感の似た名前を付ける親は多い。このどこか貴族的な雰囲気を持つ男には相応しい名前と言えるかもしれない。

目を閉じたままふらふらと歩くエレゼン男―――オリヴェルを横目に見つめ・・・微笑む。

この時点で、数十分前に分かれた妻のことは頭から飛び退っていた。
そして粗末な身なりをした子供のことも。

まさかこの出会いが、彼らのその後の人生を大きく左右する事になるとは、思いもしていなかった。

 

第二話へ続く。

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